ある刑務所長の手記―伊勢ともか先生作品ファンサイト

裏サンデーにて連載中(毎週金曜更新)の漫画「懲役339年」のファンサイト。登場人物・用語や考察など。

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劫火の教典 33話 アク

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あのとき、確かにこの手で王崎タカトを殺した。殺したはずだ・・・。ねねの「この事件はまだ終わっていないんじゃないか?」という言葉を受けて、恭一は思いあぐねる。ネットで流れている、タカトが病人に奇跡的な回復をもたらせたという噂。もしそれがタカトの力ではなく、他の仲間の能力だったとしたら?その能力が死者をも蘇らせる事のできるものだとしたら?王崎タカトが”復活”という分かりやすい奇跡を果たした場合、彼は生前を遥かに凌ぐ、神に比肩するほどのカリスマを得るだろう。もしそうなったら・・・恭一は、タカトさえ始末すればいいと思っていた自分の甘さを悔やむ。

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食事の時間、偶然知り合った隣の席の囚人。彼に看守の注意をひくように頼んだ恭一は、刑務所の高い高い壁の前に佇んでいた。決意を新たにした恭一の足元から、風が立ち上る。次の瞬間、彼の体は中空へと飛び上がった。


劫火の教典 32話 来談

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軽井沢ねねは、速坂恭一の収監されている刑務所を訪れていた。面会で王崎タカトのことについて問いただすねねだったが、それは終わった話だと冷たくあしらう恭一。その反応は勿論ねねも承知していたことだった。それでもわざわざ面会に訪れた理由・・・。恭一に伝えねばならないことがあった。


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ネット上を騒がせている噂。全国各地の病院で、難病の患者が奇跡的な回復を見せるといった事例が相次いだ。それと同時に現場で謎の男が目撃されており、彼こそ病人を治す神の手を持った人物であると噂されているのだ。さらに目撃証言のあった時期と病院の場所が、王崎タカトの全国ツアー日程と一致していることから、神の手の男は王崎タカトではないかと予想されていた。ねねは続ける。自分が参加したタカトのサイン会で、立つこともままならないはずの車椅子の少女が、タカトの歌を聞いた直後立ち上がったのを目撃したこと。さらにその少女がつい最近、急に体調を崩して死亡したことを・・・。


劫火の教典 31話 罪と罪

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王崎タカトが死んだ。年末の音楽賞授賞式、会場に向かうカーペットの上で刺殺されたのだ。凶行に及んだのは・・・速坂恭一。スターの突然の死は世間に大きなショックを与え、悲しみに暮れるものや奇行に走るものまで出始める。半年後には、有志のファンたちにより記念館まで建設された。
虚ろな目でテレビを見つめるねね。自分の両親を手に掛けた男・・・王崎タカト。世間の誰もが、彼の死が間違いであってほしいと願っている。一方の恭一は、最悪の殺人犯として懲役14年の実刑を受けることになった。「真実から私を遠ざけることが・・・私を守ることだったのか?」ねねは思い悩むが、不意に何かに気付く。野菊が部屋を訪れたとき、そこにねねの姿はなかった。

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N県S市、王崎タカト記念館内、王崎タカトメモリアルホール。タカトの曲と映像が流れ、大勢のファンが集まっている。死してなお人々の人気を集めるタカト。しかし彼らのタカトへ向けた感情は、生前と比べ異様な方向へ変化していた。さながら崇拝、信仰のような・・・


劫火の教典 30話 一撃

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王崎タカト暴行事件から数ヶ月後。全治2ヶ月もの大怪我を負ったタカトだったが、ライブツアーでの復帰以降も彼の人気は留まることを知らず、ますます加熱していく一方だ。今や老若男女からの支持を獲得し、年末には著名な音楽賞の受賞が決まるなど、社会現象と言えるまでに燃え広がっている。


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一方、暴行事件の加害者として汚名を被った速坂恭一。頼りにしていた榊正典には拒絶され、チームのメンバーも何人かが離れていった。タカトとは対象的に、どんどん孤立を深めていく。フードを目深に被り、独り軽井沢家の墓の前に佇む恭一。その表情には、冥い決意が満ちていた。


刑務所長
H.N. 弾丸



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